生前整理と遺品整理の違い
2022年05月20日 15:31:34
前回、生前整理と遺品整理の違いを少し述べさせて頂きましたが、
具体的にどう違うのか、分かりにくい、という方も多いと思います。
そこで、今回は、ご自身の生前整理やご両親などの持ち物の整理を
考えておられる方に生前整理と遺品整理の違いをお伝えします。
目次
生前整理と遺品整理の違い
生前整理とは、元気な内に自分で自分の財産関係や品物の整理を
する事です。
一方、遺品整理とは、自分の物では無い、故人の遺品・財産等を
整理(不要かどうかの判断)する事です。
「整理をする」という事では、どちらも同じですが、生きている
元気な間に自分で整理するのか、亡くなった後に自分以外の誰か
が整理するのかが大きな違いです。
生前整理とは
生前整理は、大きな2つの目的に分類されます。
1つめは、自分の死後に遺族間での財産や相続問題の発生を防止す
る為に、財産関係を存命中(健康寿命の間)に整理する事です。
2つめは、自分の身の回りの物や荷物などを整理(仕分け)していく
事です。この整理は、後々、残された方の負担の軽減になりますし
人生の整理(振り返り)にもなります。
生前整理普及協会ではここを基本に考えています。
次に、それぞれの目的の違いを見て頂きたいと思います。
生前整理の2つの大きな目的
1.財産関係の整理
整理を行うのは・・ご本人
誰の為に行うか・・ご家族のために
行う目的 ・・財産や相続のトラブルを防ぐため
行う事 ・・遺言書、財産目録の作成、デジタル情報の整理等
2.生活空間や物の整理
整理を行うのは・・ご本人
誰の為に行うか・・ご本人、ご家族のために
行う目的 ・・今の暮らしをより快適にする、人生を振返り、気持ち
をすっきりさせる。後々の家族の負担軽減
行う事 ・・荷物の整理(仕分け)→ 4つに分ける。
写真の整理(デジタルデータの整理、紙焼きにする)
エターナルノートの作成(財産と関係する部分あり)
生前整理は、人生のゴールが見え始めた中高年以上の方が行う事が多いので
すが、最近では、年齢に関係なく始める方も増えてきています。
そのきっかけは、遺品整理であったり、家の清掃・片付けであったりします。
生前整理普及協会もその源をたどれば、家の片付けに端を発しています。
身近な人が亡くなったり、自分が病気になった事などをきっかけに生前整理
を考える方も少なくありません。
遺品整理とは
遺品整理とは、ご遺族や親族の方が故人の持ち物や財産を整理することをいいます。
法的な期限等は定められていませんので、始めるタイミングは四十九日の法要の後
や何年も経てから気持ちの整理がついてから等、ご遺族によって様々です。
相続等の場合は、ご葬儀後から始める場合もありますし、賃貸物件の場合は、3ヶ月
以内に完了するような場合もあります。
それでも、平均して、7~8年くらい掛かっているようです。
次に、遺品整理をご自身で行う場合の大まかな流れをまとめてみます。
1.エンディングノートや遺言書の有無を確認する。
遺品整理する際に、最初にエンディングノートや遺言書等、故人の遺志が記載された
ものがあるのかを確認します。
遺言書があった場合、開封せずに、故人の最後の住所地の家庭裁判所に検認の申立て
をします(自筆証書遺言、秘密証書遺言)
公証人立ち会いの下に作成された公正証書遺言は、そのまま執行できます。
また、通帳やクレジットカード等の確認も必要になります。
家族の方も知らないような口座や、別の銀行の口座やカード、最近では、デジタル口座
等を持っている場合もありますので、支払いの停止等も含め、十分な確認が必要です。
2.遺産相続についての親族会議(話し合い)を行う
ご遺族で遺産分割協議や形見分けの事前準備などを行います。相続する方の財産やその
配分を決めていきます。
話し合いが済みましたら、具体的な遺品整理のスケジュールを決めると良いと思います。
また、形見分けや物によって供養されたりする場合は、2~4を繰り返す事もあります。
3.遺品の仕分けをする
故人の遺品を残す物と処分する物に分けていきます。
仕分けの仕方は、生前整理の項で説明する分類の仕方を参考にして下さい。
重要な物を見落とさないように、タンスや戸棚の裏側や引出しの下敷きの下など、こんな
所も、っていうくらい、くまなく探すことが重要です。
4.仕分けした物を処分する
仕分けした物の処分方法を決めていきます。
エンディングノートや遺言書があれば、その内容に基づいて決めていきます。
売却や譲渡、廃棄等、処分するのか、又は、御焚き上げ等の供養をしたり、形見分けを
するなど、ご遺族間で後々、揉めないように慎重にかつ、十分な話し合いが必要です。
遺品を廃棄するには、自治体のルールによって分別をして処分します。
全ての処分が終了したら、清掃をして完了です。
尚、通常は自治体の一般廃棄物で処分出来ますが、大きな物は粗大ゴミとして時間や
手間が掛かったりします。また、物によっては、産業廃棄物として処分しないといけな
い物もあったりしますので、注意が必要です。
特殊清掃とは
特殊清掃とは、事故や病気等に起因する孤独死や事件等で、その方が敷地内やお部屋で
亡くなり、様々な事情で発見が遅れたご遺体の痕跡を現場から取り除く作業の事です。
遺体の血液や体液の漏出、腐敗臭などで汚染された現場は、通常の清掃では、元に戻す
のは、非常に困難です。また、感染症の恐れがありますので、防護服や防護マスクを着
用して、専用の薬剤等で作業します。
また、室内の場合は、床や天井に体液等が浸潤していた場合、リフォーム工事も必要に
なります。
生前整理と遺品整理は、どちらの方が大変か
生前整理は、本人が自分の物を整理するので、何を処分するのか、残すのか、誰に譲渡
するのか等を自分で判断できます。また、生前整理の進め方で説明しますが、白黒つけ
ずに時間を掛けて行う事も出来ます。
対して、遺品整理は親族とはいっても他人の物を整理していきますので、そのお品物へ
の思い入れや、価値などは、判断が付かないことも多くあります。また、通帳や貴重品
等の収納場所が分からず、何処から手を付けていけばよいのか分からず、いたずらに時
間が掛かったりするような場合も少なくありません。
例えば、自分は処分しても良いと思っている物でも家族と意見が分かれたりして、結論
が中々、出ない事がよくあります。
又、賃貸物件の場合は、退去日や各種の解約手続きの他、相続の手続きに間に合うよう
に遺品整理を行う必要がありますので、仕事を休んだり、予定を合わせるために強行ス
ケジュールになったり、周りや遺族に負担が掛かることも多くなります。
生前整理と遺品整理の違い①でも述べましたが、どちらも手間も時間も掛かる事なので
すが、遺品整理の方が、遙かに大変だと言えます。この事は、ご自身の精神的・肉体的
負担やご家族、ご親族等の負担を考えてもお分かり頂けると思います。
業者に相談、依頼するのもあり
生前整理も大変と言えば大変ですが、遺品整理をご自身で行うのは、もっと大変です。
時間も限られた中、精神的にも肉体的にも負担が増えます。遺品の整理をしようとして
も遺品を見る度に思い出がよみがえり、手を付けられなくなり作業が進まなくなる事も
珍しくありません。残す物、捨てる物の判断も付けられません。
遺品整理士認定協会では、そういったご遺族の気持ちに寄り添うことを第一に考えて、
物の整理だけではなく、気持ちの整理を一番に考えているのもそういった点からです。
そういうきちんとした業者に作業を行ってもらえば、貴重品等の捜索や荷物の片付け
などの労力も軽減されます。
また、遺品を残すかどうかの仕分けの仕方や処分しても大丈夫かを確認したり、処分の
仕方等も相談出来ますので気持ちの負担も少なくなります。
生前整理と遺品整理業者を選ぶ時の確認事項
生前整理や遺品整理は、プロに依頼する事でご自身やご家族、ご遺族の負担を軽減する
事が出来ます。
しかしながら、中には悪質な業者も存在しており、高額な追加料金を請求されたり、荷
物を勝手に処分されてしまった、等のトラブルもあります。
また、業者の成り立ちによって基本的な対応や金額の違い等もあります(詳しくはここ
では言えませんが)
どうすれば、信頼できる業者に依頼をして、トラブルが無い様に出来るのでしょうか?
次に整理業者を選ぶ時の注意点やポイント等をご説明致します。
①スタッフの対応
生前整理や遺品整理は、単に物片付けや整理という事ではなく、ご自身の生き様や思い出、
故人の生きた証を整理すると共に、それにまつわる気持ちの整理をしていくことです。
それぞれのお品物を大事に丁寧に扱うことはもちろんですが、如何に整理をされる方のお
気持ちに寄り添っっているのか、が非常に重要です。
生前整理普及協会や遺品整理士認定協会も、その点を大事にする様に何度も述べています。
②生前整理相談士や遺品整理士等の有資格者の有無
生前整理や遺品整理に関しては、厳密に言うと特に必要な資格はありません。
これは、生前整理や遺品整理に関しての国家資格が存在しないと言うことです。
最近では、孤独死やゴミ屋敷問題等が社会問題として顕著になりつつあり、そ
ういった問題や社会の要望に応える形で、一般社団法人遺品整理士認定協会や
一般社団法人生前整理普及協会、日本清掃収納協会がそれぞれ民間資格を発行
しています。
民間資格とはいえ、専門知識やスキル等も必要であり、そう簡単に取得出来る
資格ではありません。
資格者がいるのといないとでは安心感が違うと思います。しかしながら、資格
者の言う事が絶対ではありません。その点は、注意して頂けたらと思います。
③見積書を提出してくれるか
生前整理でも遺品整理でも、荷物や遺品の量、エレベーターの有無、清掃の必
要度合い、道路からの距離や必要なスタッフの人員など、現場を確認しないと
正確な料金を出すことは出来ません。
通常は、ご訪問、又は現場でのお立会いの後、見積書を作成し、詳細をご説明
して、お客様のご了解を得た後で作業を開始します。
お客様が見積りは不要と仰ったり、極々、簡単な作業の場合などは、この限り
ではありませんが、後々のトラブル防止の為にも確認しておきましょう。
以下、見積書で確認して頂きたい注意点を簡単にまとめました。
記載されている作業内容が具体的か
合計○○万円や、一式○○万円等、大雑把な記載ではなく、具体的な作業内容
や数量、金額等が明記されているかを確認しておきましょう。
記載されている内容、数量は適正か
作業内容や数量が明記されている場合でも、その内容や数量等が適正かも確認
して下さい。専門家でないと分からない部分もあるかもしれませんが、分から
ない事や不明な点などは、遠慮なく聞きましょう。その時の応対の仕方なども
判断材料になります。
追加料金などの有無が記載されているか
生前整理や遺品整理に限らず、契約トラブルで多いのが、追加料金を請求され
たというような事例です。
見積書に別途作業や追加になりそうな項目などが明記されているかを確認して
下さい。
若し、記載されていなければ、見積りの金額で全ての作業が出来るのか、追加
が発生する可能性のある作業は無いのか、又、一人ではなく、複数人で確認す
る(ダブルチェック)等、十分に注意しましょう。
生前整理をした方が良い訳
若し、生前整理をしていなかったら、どうなるのでしょうか?
ここでは、生前整理を行わなかった場合のデメリットや行っていた方がよい理
由をご説明します。
ご遺族の精神的な負担
身内の方など、大切な方がなくなった時、無くなったことを認められない、と
いう辛さや、共に生きる事が出来ない悲しみや現実が現れます。
愛用されていた品物も、思い出の品物になって、よみがえる思い出と共に寂し
さや悲しみがこみ上げ、整理や仕分け出来なくなってしまいます。
そのままだと、いつまで経っても整理が終わりません。
家やその部屋などに遺品が放置されたままにならない為にも片付けは必要です。
しかしながら、ご遺族や残された方々にとって、寂しさや悲しみを抱いた状態
で遺品の整理や仕分けをすることは、大変な精神的負担となるでしょう。
先にも述べましたが、遺品整理が、完全に終了する迄に平均して7~8年かか
っているというデータもあります。
遺品整理は手間や時間、費用が掛かる
ゆっくりと時間をかけて自身で行う生前整理とは異なり、遺品整理は、短期間
で品物の整理を行わなければならない事も珍しくありません。
家の権利書などが無いと不動産関係の手続きが遅れたり、金融機関の口座が、
分からないと支払いをストップ出来なかったり、お金が引き出せなくなったり
して、余分な出費につながったりします。
1つ例を挙げると土地を売買する場合、土地の境界が確定していないと売買する
事が出来ません。実際に、土地の権利書があっても地積が確定、登記されていな
い土地は非常に多いです。土地を測量する費用も馬鹿には出来ません。
他にも多々、ありますが、ご自身の意思を明確にし、子供さんやご遺族の方の
様々な負担を軽減するためにも生前整理をされておかれる事をお勧め致します。
生前整理の進め方(財産・情報整理)
次に、生前整理を財産の整理と、物(生活空間)の整理の2つに分けて具体的
な進め方をご説明していきます。
目録を作る
財産の整理を行う時は、財産目録を作成します。それによって、どのような財
産を所有しているのかを可視化していきます。
そうする事で、ご遺族が財産を調べる手間が大幅に省けます。また、相続手続
きをスムーズにしたり、相続税等の計算や、生前贈与等の税金対策にも活かせ
る事が出来ます。
遺言書を作成する
エンディングノートを作成して、ご自身の意思を残すことも可能ですが、エン
ディングノートは法的拘束力がありませんので、誰々にどの位の財産を残すと
いう希望を記載してもその通りにならない可能性も出てきます。
その為、財産に関してのご意思がある場合は、遺言書の作成をお勧めします。
遺言書は書き方さえ間違わなければ、ご自身でも作成できますが、手続きや
書き方などが難しいと思われる場合は、弁護士などに依頼されたり、公証人
役場での作成を依頼されるのもよいかと思います。
生前整理の進め方 物(生活空間)を整理する
次に、生前整理のもう一つの大きな柱である、物(生活空間)の整理の進め
方をご説明します。
物を整理していくことが空間の整理に繋がります。お部屋を広く使えるよう
になったり、生活動線が良くなったりもします。又、新たに趣味を始める為
に必要な空間を作り出すのに荷物を整理するという考えもあります。
荷物(品物)を4つに分ける
ご自身が亡くなった後、残された遺品が大量にあると、遺品の整理に多くの
時間や手間が掛かって、ご遺族に大変な負担になってしまいます。
生前整理をきっかけに、出来るだけ、荷物を減らしていくことで、気持ちの
整理や人生の振り返りも行うことが出来ます。
仕分けの仕方は、部屋ごとに行っていきます。
部屋の荷物を4つに仕分けていきます。
①必要な物
今その場で使っている物と、将来使うことがハッキリしている物。思い出の
物でも今使っているのなら、必要な物に分類します。
②不要な物
今現在使っていなくて、使う目的が明らかではないもの。思い出の物でも手
放す事が出来る物は、不要な物に分類します。
③迷った物
いるかいらないか8秒迷ったら、迷った物に分類します(時間を掛けない)
④移動する物
場所を移動する物です。その場で使用している物でないものが出てきたら、
移動する物に分類します。
また、思い出の物として残すと決めた物は一カ所にまとめて思い出箱に入れ
ます。思い出箱はあまり大きくならないようにしましょう。
処分に迷った物は?
③の8秒迷った物は、期限を決めて(明記して)保管します。期間は、人そ
れぞれだと思いますが、半年くらいが良いと思います。短すぎると再び迷い
が出るかもしれませんし、長すぎると忘れてしまうかもしれません。
保管場所は、押し入れの奥の方ではなく、直ぐに取り出せる場所に保管して
下さい。
不要な物を処分する
自分には不要でも他の人には価値がある物も多くあります。
処分するに当たって、破棄するだけではなく、価値がありそうな物であれば
誰かに譲ったり、ネットオークションやリサイクルショップ等で売却するの
もいいでしょう。
不要品を処分する方法
不用品や家具・家電等は、自治体のルールに従って適切に処分します。
仕分け方や処分費用が必要な品目、処分の仕方などは自治体毎に異なります
ので、事前にホームページや、処分場などで確認するようにして下さい。
まとめ
生前整理は、緊急性がありませんので、必要と感じても中々、行動に移せな
いものです。
しかし、先延ばしにすればするほど、不要な物が増えていき、ますます、手
を付けるのが億劫になってしまします。又、万一、そのまま亡くなってしま
うと、何度もご説明してきたように、ご遺族の負担が大変なものになってし
まいます。
ですから、先ずは、出来ることから少しずつ取り組んでいかれては如何でし
ょうか。
今の自分にとって、必要な物と不要な物を仕分け、整理していく事で、自分
がどう生きてきたのか、何を大事にしてきたのかを振り返り、それによって
自分がこれからこう生きていきたいのか、が明確になり、これからの人生を
前向きに、積極的に生きていくきっかけにもなります。
これからの人生をこれまで以上にさらに充実させていくためにも、この機会
をきっかけに生前整理を始めてみられては如何でしょうか。
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